【応援の輪 #2】桐生・「四辻の齋嘉」が紡ぐ、歴史ある建物と伝統芸能の縁

公演にご協力いただいた場所や、お世話になった地域の方々をご紹介する企画の第2回です。
今回は、2026年2月1日に「わたらせ座 旗揚げ公演(桐生公演)」の舞台となった、桐生市の「四辻の齋嘉(よつじのさいか)」さんをご紹介します。


織物会社の本宅だった大正時代の建物

四辻の齋嘉があるのは、桐生天満宮から東へ少し進んだ四つ辻の角です。 この建物は、かつて桐生の代表的な機屋(はたや)であった「齋藤織物」の、経営家であった齋藤家(当主・齋藤嘉平さん)の本宅として、大正12年(1923年)に建てられたものです。

この辺りは桐生新町の始まる地域にあたりますが、感じ繁華街から少し外れた、山の裾野の古民家群の中に佇んでおり、2階建ての邸内には心地よい風が通り抜けます。窓を開けると、桐生を囲む緑の山々が指呼の間に見え、とても気持ちのいい場所です。

「四辻の齋嘉」正面、駐車場側から
「四辻の齋嘉」正面、駐車場側から

建物内には、当時の大工によって意匠が施された、透かし彫りの欄間が各所に残っています。

2階へ上がると吾妻山と観音山を望む、「マウンテンビュー」を楽しむことができます。

また、2階の窓などには、ガラスの表面にニカワを塗って乾燥させることで霜のような美しい結晶模様を浮き上がらせた「結霜ガラス」がはめ込まれており、大正時代の職人の技が随所に施された贅沢な造りになっています。

「四辻の齋嘉」四つ辻側から 2階の窓はみんな高価な「結霜ガラス」です
「四辻の齋嘉」四つ辻側から 2階の窓はみんな高価な「結霜ガラス」です

地元の職人たちの手で修復された空間

昭和40年代に齋藤織物が廃業して以降、この建物は長らく空き家となり、一時は取り壊しの危機もありました。しかし、平成24年(2012年)に地元有志が立ち上げた「株式会社桐生再生」が建物を買い取り、修復プロジェクトが始まったそうです。

その際、建物の素晴らしさに心を打たれた地元の大工たちが、「自分たちの伝統の技を示し、さらに技術を磨く機会にしたい」と次々に名乗りを上げ、自発的に集まって修復に協力してくれたと聞きました。

当時の技が現代の職人たちに受け継がれ、建物はきれいに再生されたようです。


マスターがもてなす郷土の味「おきりこみ」

現在、この四辻の齋嘉の運営や管理を任されているのが、マスターの小林義之さんです。

小林さんは元銀行員で、退職後にこの場所の管理・運営に携わるようになったそうです。 建物の維持管理をされる傍ら、料理もご自身で作られるようになり、訪れる人々をもてなしています。

桐生公演の際、楽屋メシとして小林さんが作ってくださったのが、群馬名物の「おきりこみ」でした。 平打ちの生麺を野菜と一緒にじっくり煮込んだおきりこみは、本番を控えて硬く緊張していたメンバーの心身を、その暖かさで緩めてくれました。

小林さんがご用意くださった「おきりこみ」
小林さんがご用意くださった「おきりこみ」

桐生公演の熱気と「餅つき」の思い出

桐生という街は、寶楽が高校時代を過ごし、落語活動の原点となったホームグラウンドでもあります。

そうした馴染みのある地で行われた旗揚げ公演は、会場を埋め尽くす「超満員御礼」となり、伝統芸能に関心のあるたくさんのお客様にお越しいただきました。

終演後には、ご来場の皆さんと一緒にお餅をつく「餅つき大会」を開催。 公演中も、この餅つきにちなみ、オープニングの狂言小舞では『餅酒』、落語では『尻餅』といった演目を披露し、最後はみんなでお餅をつき、笑顔で終演を迎えられました。

昔ながらの杵と臼で餅をつく小林さん
昔ながらの杵と臼で餅をつく小林さん

心地よい風が吹き抜ける空間と、小林さんが作る絶品の「うどん」「そば」「ひもかわうどん」を味わいに、ぜひ四辻の齋嘉さんへ足を運んでみてください。

天ぷらとうどん・そばのあいもりメニュー 超ボリューム
天ぷらとうどん・そばのあいもりメニュー 超ボリューム

【四辻の齋嘉】

  • 住所:群馬県桐生市東久方町2-1-45
  • アクセス:JR両毛線「桐生駅」から車で約5分
    または徒歩約20分
    (※週末は、まゆの形をした低速電動コミュニティバス「MAYU」の
    運行拠点にもなっています)
  • 電話番号:0277-46-6916 / 080-7482-6916
  • 営業時間:11:00〜17:00
  • 定休日:火曜日、水曜日
  • 公式インスタグラム:@kiryu_saisei